住宅や投資用マンション、車などでローンを組んで買った場合、月々の返済金額を安くしたり、返済期間を短縮させる方法として『繰上返済』という手法があります。
手元資金がある場合には繰上返済を検討する方もいますが、 今回は繰上返済について説明します。
繰上返済をした方がいい場合、しないほうがいい場合の基本的な考え方を記載したいと思います。
Contents
そもそも繰上返済とは何か?
繰上返済とは、借入額の一部を月々の返済とは別に返済することです。
月々の返済には通常利息分と元金の返済ですが、
繰上返済の場合には元金が返済されます。
つまり借入金額そのものを減らすことが出来るため、
繰上返済をした後の月々の返済は
利息が減り、元金返済が増えることになります。
その分以下の効果があるので、自分でどちらがいいか選択することができます。
①月々の返済金額を軽減できる
②返済期限を短縮することができる
どんな場合に繰上返済したほうがよいのか?
基本的に繰上返済をするタイミングはローンを借りてから早めに返済したほうが良い、というのがセオリーです。
理由は複利効果で長期間であればあるほど利息を多く支払っているからです。
つまり元金を減らせればその分の利息を支払わなくて済みます。
逆に言うとローンの支払いが残り1年とか、あと少しという方は、あまり繰上返済をしても意味がないのでそのまま借りてしまったほうがいい場合が多いです。
実例を見てみましょう。
5000万円のローンを35年1.2%固定金利で組んだとします。
月々の返済金額は約14.6万円です。
もし100万円手元にあったとして繰上返済を検討しています。
1年後に100万円繰上返済できたとすると、
期間短縮を選択すると49万円の節約になります。投資効果としては約50%です。
30年後ではたったの5.8万円しか節約できません。投資効果としては5.8%です。
普通預金に預けるよりはよっぽど良いかもしれませんが、ここで伝えたかったことは
繰上返済は早ければ早いほど良い!ということです。
投資用不動産の繰上返済の場合
投資用不動産を持っている人は毎年ある程度まとまった金額を期間短縮型で繰上返済することをおすすめします!
先述の通り、早く返せばその投資効果は高まります。
余談ですがGooayuは毎年50万円程度投資用マンションで繰上返済することを目標にしています。
シミュレーションでは14年後に完済できます。
完済した物件の収益で他の物件の繰上返済ができるようになり、資金効率が良くなるからです。
住宅ローンと投資用不動産ローンでは繰上返済のベストタイミングは異なる!
ところが「繰上返済は早い方が良い」セオリーが一律に通用しないのは住宅ローンです。特に最近住宅を購入した方(自分も含む)。
理由は住宅ローンには『住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)』というものがあり、11年以上でローンを組んでいる方は国からお金が返ってきます。
従来は10年間 毎年最大控除額40万円でしたが、
2019年10月~2020年12月までの増税のタイミングで購入された方は13年間の控除を受けることができます。
控除額の算定方法は「住宅ローンの年末残高 X 1%」です。
もし40万円最大で得るためには、13年間(従来法では10年間)ローン残高が4000万円ある必要があります。
要は残高が多い方がお金がたくさん戻ってくる、ということです。
じゃぁ13年間は繰上返済しない方が得ということ?
残念ながら答えは「場合による」です。
一つの目安としては住宅ローン減税の「1%」よりも金利が高い場合、
ローン残高が少なくなっても繰上返済をした方が得する可能性が高いです。
金利が低い場合はローン残高を減らす必要はあまりないです。
住宅ローン減税を受けている方はシミュレーションをしてから繰上返済をしたほうがよいですね。
繰上返済をするなら返済期間短縮がおすすめ!
月々の返済金額を軽減できるのは魅力だな~
Gooayuはおすすめしません。なぜなら②のほうが費用圧縮効果が大きいからです。
先ほど使った表ですが、各返済シミュレーションの「返済金額軽減」という欄を見てみましょう。 1年後に100万円繰上返済したとします。
期間短縮をすると約49%の投資効果でしたが、返済金額を軽減する方だと約22%まで少なくなってしまいます。
しかも返済金額を軽減といっても微々たる金額で、こんなに支払ったのにこんなもんか、という金額です。
月々の返済金額はたったの3000円程度しか安くならないんですね。
月3000円だったら何か他の固定費や無駄使いを見直せると思いませんか?
そもそも軽減したい金額でのローンは正直おすすめできません。
きちんと見合った金額でのローンを組むことをおすすめします。
まとめ
繰上返済は早めにしたほうが投資効果としては高いのがセオリーです。
しかしながら住宅ローンの場合には住宅ローン減税があるため一概に繰上返済をしたほうが得とは限りません。
きちんとシミュレーションをした上で投資効果を見極めましょう。
✓ 繰上返済とは、借入額の一部を月々の返済とは別に返済すること
✓ 繰上返済をすることで①月々の返済金額を軽減できるが、②返済期限を短縮したほうが投資効果は高くおすすめ
✓ 繰上返済をするタイミングはローンを借りてから早めに返済したほうが良い
✓ 投資用不動産ローンと住宅ローンではベストな返済タイミングが異なるのでシミュレーションをして見極めが必要